【勉強会開催報告】小さな組織でも話題の連鎖を生み出す企業広報のポイントとは?
ひとり広報で年間1,900件以上のメディア露出を獲得した裏側
ハッシン会議では、広報PRの勉強会を定期的に開催しています。
今回は、生産者から直接食材や花などを取り寄せられるオンライン直売所「食べチョク」で広報を担当している株式会社ビビッドガーデンの下村彩紀子さんをゲストにお招きし、お話を伺いました!勉強会でお話しいただいた内容を、以下抜粋してご紹介します。
■入社初期にひとり広報の状態で何から始め、社員をどのように巻き込み協力体制を作ってきたか
広報は全く未経験の状態で入社しました。当時は社員数10名ほどでしたが、「広報は全員でやるものだ」という価値観を会社で大事にしています。
活動初期の頃は行動目標だけを追っていて、開始して3ヶ月後くらいに結果目標や露出目標を決めました。どんな露出が取れそうかも見えない時は、リレーション数とアプローチ数を指標に置いて、まずは月に4本プレスリリース出そうという目標を決め、そのためにどうしたらいいかを日々考えていました。マーケティングチームで何か動いていないかな、面白い動きはないかなと自ら積極的に探しに行くようにしました。ネタ作りのための情報収集としては、日経新聞を購読して毎日見たり、気になるキーワードをGoogleアラートで拾ったり、リモートワークでは気になるテレビを流して切り口を参考にしています。
プレスリリースや企画を立てるのは、世の中がどう動いているかと会社がどう出したいかの掛け算をすることだと思います。弊社では企画段階で広報が入り、広報視点でアドバイスをして一緒に特集を作っていきます。例えばお中元の特集を作った時は、今年のお中元の傾向を出せばニュースに載せられるかもしれないという仮説をもとにデータを調べ、データを前面に押し出したプレスリリースを出しました(リリースはこちら)。会社として伝えたいことを伝える中で、社会との接続ができる可能性があるのかを模索していくことが重要です。
また一部の有志のメンバーがTwitterなどで、食べチョクの名をつけたアカウントで発信をしています。これはルールが決まっているわけではなく、それぞれが好きなように、個人のことや仕事のこと、生産者さんのことや最近食べた美味しいものなどを呟いて、そこでカルチャーを伝えています。全員が外に向かって発信する機会があるので、言って良いことや表現方法を全員が分かることを前提として動いています。
さらに現在は広報レギュレーションというルールブックを作ってあります。この数字は出して良い/良くないということを共有し意思統一を図っているので、メディア露出やイベント登壇の時に役立ちますし、スピーディーな対応が可能になります。
■広報の目標設定は?
(下村さんのnoteより抜粋)
結果目標で置いている数字は広報の成果だけでなく他チームの成果でもあるので、目標に縛られすぎないことを前提にしています。ただ行動目標は広報チームだけで必ず達成できる部分として動いています。食べチョクはECサイトを運営しているので、指名検索数やオーガニックからの流入からどれくらい注文に繋がったかを結果として置いています。
注力媒体は、事業戦略と紐付けてやっています。生産者さんの獲得を急ぎたければ、生産者にどうアプローチすれば良いかを考えます。ユーザーさんを増やしたい方針があれば、主婦層が見ているテレビなどのマスメディアに注力します。自治体へのアプローチを強化したければ、経済系のメディアや地方紙・地方局に声掛けしようと決めます。事業目標と他部署の状況を見て、今はどこに注力していて何にリソースをさこうとしているのかを把握し、広報としてどういう切り口でサポートできるかを考えます。トライアンドエラーを重ねてやっており、弊社はステークホルダーも多いので、それぞれに対してどういうメッセージを出したいかを考えてプレスリリースも作成しています。
■特に反響があった露出
インパクトが大きかったのは、2020年5月にシューイチの番組で10分以上食べチョクの特集を組んでいただいた露出です。その時は前月の売り上げを1日で超えました。全国放送の人気の高い番組で、新規性があるものとして取り上げられたからだと思います。こんな文脈でテレビに出れたらいいなと思って書いたプレスリリースをきっかけに問い合わせをいただきました。この露出前後の3ヶ月は、流通額が通常の35倍にもなりました。
2020年6月にがっちりマンデーで放映された時も反響がありました。半年程前からディレクターさんに提案をしていて、取り上げられる候補の会社が複数ある中で、情報提供を続けました。また2021年5月にカンブリア宮殿への出演もできましたが、1年前から番組担当者と繋がっていて提案を繰り返し、タイミングが合って出ることができました。長期でずっと繋がっていることは大事だと感じました。
また広報さんの横のつながり経由で露出できることもあります。日経新聞ではいろいろな部署で様々な企画が動いているので、関連が薄そうなところからも繋がったりすることがあります。
■良い連鎖が生まれる事例
広報は間接的な効果もたくさんあると思っています。例えば弊社では一見競合に捉えられるJAさんも、役割が違うだけで一緒に業界を盛り上げていく仲間なので、そういう方達に共感いただき応援をしてもらえることはとてもポジティブなことです。(参考note:農協って敵ですよね?とあまりに聞かれるので…)
最近は自治体からの問い合わせが増えている一方で、ECに乗り出せていない自治体もまだ多いのですが、その地域にいる生産者さんが新聞や資料を印刷して自治体に持って行ってくださり、「食べチョクを個人的に使ってみたんだけど、すごく良いから使用を検討して欲しい」と言ってくれたりもします。TwitterやInstagram、地域のオフラインのコミュニティなどでも薦めてくださったりします。
プロダクトのファンを作ることで、会社が発信するとその人たちが発信してくれます。やはり「隣の家の人に薦められた」「信頼している〇〇さんから教えてもらった」というものに勝るものはないと思います。だからこそ食べチョクでは一人ひとりの生産者さんの状況に真摯に向き合っていますし、結果として発信の輪が広がっていきます。マスメディアだとどれだけの人にリーチしたかという数や申請/問い合わせの数で見てしまいがちですが、一例に耳を傾けて動くようにしています。ファンづくりにはそうしたユーザーさんとの丁寧なリレーションを軸として、SNSなども活用し、巻き込み力を上げていくことが大事だと思います。
社内では、広報が関わることで部署のメリットがあることを伝えるようにしています。今社内でどういうことが動いているのかを把握して、これはインタビューや取材が取れそうだなと思い立ったら詳しく話を聞いたり、会話の中に入っていったりします。会社として同じ目的に向かって動くので、広報として露出すればその結果に繋がったり、一緒に動くことでメリットになることを理解してもらえるように努めています。
メディアリレーションは現在はオンラインが主ですが、時間も決まっているので結論ファーストでお話し、かつフラットに食べチョクのことを説明します。そのメディアが興味をもつポイントはどこなのか、それはなぜなのか、読者の傾向を聞きながらディスカッションをして、こういう情報提供ができますとお伝えしています。
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