【勉強会開催報告】雑誌『広報会議』を読みながらきむ兄とだべろう―番組制作側の視点で学ぶ、テレビ向けPR―
「どうやったらテレビに出られますか?」から脱却するために
ハッシン会議メンバーによる広報勉強会。
今回は、元・放送作家で、ハッシン会議のメンバーでもある木村公洋さん(通称:きむ兄)を囲んで、座談会形式で学ぶ勉強会を開催しました。
雑誌『広報会議』の事例をもとに、きむ兄、元経済番組ディレクターで、PRコンサルティングの石原智さん、ハッシン会議 井上、マネージャーの刑部を中心にだべった、テレビ取材獲得のポイントとは―?
木村公洋さんについて
2020年秋に東京から福岡に移住した元・放送作家で、テレビやラジオ番組の企画・構成、台本執筆などコンテンツを提供する仕事に携わっていた。
現在は中小・ベンチャー企業、フリーランスのPRに関するアドバイス・企画立案戦略をサポートしている。
https://www.facebook.com/uraihiro
<取り上げる事例>
『広報会議』2021年5月号の記事より
・アキダイ
※上記すべて、記事の内容は途中から有料となっています
テレビに出る方法論より、指針となるPR戦略が重要
木村さん(以下敬称略):私もそうですし、石原さんも井上さんも一言目から「どうやったらテレビに出られますか?」という質問を幾度となく受けたことがあると思います。
しかし、一度テレビで取り上げられたとしても、その影響は長くは続きません。テレビ出演は、あくまで手段であって、目的ではない。私もハッシン会議で学んでいるところですが、PRの戦略、全体像をどうプランニングしていくかが重要ですよね。PR戦略を詰めないまま、小手先のテクニックを使ってテレビに出たところで、会社のためにはならないということを強調したいです。
石原さん(以下敬称略):事業がBtoBなのか、BtoCなのかで戦略も変わってきます。経営的な視点から見て広報のゴール設定をすることが大切ですよね。社長から「とにかくテレビに出よう」と言われて苦労している広報担当者の悩みもよく耳にしますが‥
ハッシン会議 刑部(以下刑部):自社のためになるような、効果の出る番組を狙って動いていく、ということですね。
テレビに取り上げられた事例からヒントを得よう
・アキダイ(生鮮食品店)
2020年、年間300本以上の出演実績。
商品の仕入れから販売、接客までを担当する社長が自らテレビの取材に応じている。そのため、リアルタイムの景況感を伝えることができ、臨機応変な取材対応が可能。
(記事リンク:アキダイ)
木村:ここの社長さんは、「あれ、また出てる」って思うほど、テレビ局をまたいで夕方のニュース番組で見かけるんです。こういう番組では、放送当日の午前中に取材を依頼して、撮影・編集、夕方放送ということも多いんですよね。だから、急な取材対応を引き受けてくれるということで、この社長さんは制作側にとって頼れる存在なんだと思います。天気や食品などの生活に即したトピック、つまり主婦層が気になる話題は夕方の報道番組でよく取り上げられるので、小規模であっても小回りがきく生活密着型の事業者はチャンスがあるという良い例ですよね。
ハッシン会議 井上:アキダイの社長さんはテレビディレクターから直接電話がかかってくるということですが、一度制作側とつながりを持つと、取材を受けやすくなるというのは感じます。
石原:制作会社はいろんなテレビ局とかかわっていたり、木村さんのようにテレビやネット・紙媒体と、メディア横断的に仕事を持っている方もいるので、制作側にコネクションを持つことは重要ですよね。もし取材を受けることがあったら、他にどんな番組やメディアの仕事をしているのか、聞いてみるといいですよ。先のメディア露出につながることがあるかもしれません。
・メイカセブン(薄皮あんぱんで有名なパン屋さん)
2020年、ドキュメンタリー番組で密着取材される。
店内での読み聞かせイベント、「萌え断」ワークショップ等、意外性・話題性のある取り組みを続け、SNS(Facebook、Instagram)で発信している。
(記事リンク:ベーカリー・メイカセブン)
木村:このお店の場合は、テレビ露出を狙ってやったというよりは、みんなが楽しんでくれることを追求し、地道に行動し続けた結果なのかなって。テレビ制作側にも「何か面白いことをやっているお店」として覚えられているだろうし、ブランディングに成功していますね。
刑部:メイカセブンさんは、パンを購入したお客さんのInstagram投稿がとても多いですね。BtoCだとお客様がSNSで発信してくれる部分も大きいので、拡散されやすいキーワードを考えておくと良いかもしれません。
・ハウステンボス(長崎のテーマパーク)
「ハウステンボス」として出演するのではなく、ヨーロッパ風の風景画像を提供。テレビ制作側の要望に応じて撮影・編集できるチームを独自に持ち、テレビクルーの取材なしで映像を納品できる。
(記事リンク:ハウステンボス)
刑部:地方や離島など、アクセスがネックになる場所であれば、動画や写真の撮影、編集スキルがあると強みになりますね。
木村:ハウステンボスの制作班レベルまでは難しくても、こういった画が撮れますよと動画や写真で示せたら説得力は上がりますよね。
刑部:SNSの発信でもそうですが、そういった画を撮る技術は今やPRの必須スキルだなと感じます。
石原:ハウステンボスは一時期経営危機に陥りましたよね。途中で経営者が変わって、立て直しを図っていた時期に私は取材したことがあるんです。これからV字回復するぞという姿や、課題を抱えているというマイナス面をあえて出すのも、応援者・ファンを増やすひとつの方法ですね。
テレビディレクターが取材したくなる企画の作り方とは?
刑部:テレビに取り上げられたことのない方や、狙った番組に出られていない方にとても為になる記事ですね。この記事にはヒントがたくさん載っていて紹介しきれないので、一度読むことをおすすめしたいです。
(記事リンク:テレビディレクターが取材したくなる企画書 22のコツ)
①社会性・ストーリー性があるか
木村:この記事にも書いてあるとおり、理屈っぽい内容は好まれません。というのも、NHKとテレビ東京を除くテレビ局は経済部の人員が少なく、経済ニュースとしての放送枠はとても少ないからです。報道ではなく情報番組で取り上げてもらえるような、生活に役立つ情報として出すのがいいでしょうね。
石原:経済部の記者が少ないというのはその通りで、しかも彼らは企業ではなく政府の発表を取材しています。なので、新聞記者と同じような感覚でテレビの経済部の記者にアプローチするのは、おすすめしません。上場企業であれば、証券取引所の兜倶楽部には常駐の記者がたくさんいるので、一度入ってみるのはいいと思います。穴場は都庁の記者クラブで、オープンな雰囲気で入りやすいです。
②映像映えするものか
木村:テレビ制作側は絵コンテを頭に描き、どんな映像が撮れるかを想像して取材に向かいます。「撮れ高」があるものを求めているんですね。テレビ番組もそういった視点で見てみると、どういう画が「撮れ高」なのかが分かってくると思います。
③旬な情報か
木村:僕がかかわる医療系ベンチャー企業では、5月12日の「看護の日」に合わせてプロジェクトを仕掛けようとしていて、その日に取材してもらえるようにはどうすればいいかを考えています。
刑部:そういった業界に関連した記念日や季節の行事など、客観的なものをプレスリリースに入れられるようになると、結果にもつながってきますよね。
追記:そのプレスリリース
④テレビディレクターが取材しやすいか
木村:これは大事なポイントです。これまで話したような条件を満たす「良いネタ」を求めているのはもちろんですが、やはり効率よく仕事を進めたいのは誰しもが思うこと。仮に取材が決まらなかったとしても、必要な情報をまとめたり、レスポンスを早くすることで「広報担当者の対応が良い」という印象をディレクターに持ってもらうことは、次のチャンスにもつながるのではないでしょうか。
(執筆:横田マリ子)
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