【イベントレポート】企業が抱える広報課題をPRのプロがその場で解決! 明日から使える広報施策とは?
今回ご登壇いただいた小野茜さんと、ハッシン会議代表の井上千絵は、昨年の同時期に、ひとり広報のための書籍を執筆しました。二人の対談は、1月に開催された「なぜ今“ひとり広報”書籍が必要なのか?」に続き二回目。企業の広報で起こりがちな悩み・課題について、活動領域の異なる二人が意見を交わしました。
広報初心者だけでなくベテラン広報の方など75名以上にお申し込みいただき、非常に多くの事前質問もいただきました。皆さんが日々悩みながら活動されている様子が伺えます。対談は、それぞれが考える広報活動で大切な心構えからはじまり、その後、事前に寄せられた質問に答えながら展開していきました。レポートでは、トピックを抜粋してご紹介します。
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広報活動で大切な心構え
二人の日々の広報活動領域
小野さん(以下敬称略):私はtoCでの経験が圧倒的に多いです。コンシューマーにどう情報を届けるか?お客様とのコミュニケーションをどう生み出すか?を考えてきました。現場にも入り、広報を起点に色んな領域を巻き込みながら幅広く仕事をしてきました。
メディアアプローチなどの広報の王道よりも、企業の強みは何か?広報活動の目的をどこに置くか?どう広報活動に落とし込んでいくか?といった、広報活動の指針や方向性を示す役割を担うことが多いです。
井上:私は、経営者と広報担当者の間に入り、全くの未経験で入った広報担当者に向き合うことがほとんどです。日々どんなモチベーションで向き合ったらいいのか?広報担当者にメンターのように寄り添いながら、伴走しています。
広報活動で心がけていること
小野:「常にフラットでいる」ことです。自分たちが何を言いたいか?を追うとひとりよがりになりがち。いち消費者はどう商品を捉えるか?これから働こうとしている人だったらどうその会社が見えるか?など、幽体離脱的な視点で会社を俯瞰して見ることが大事です。
井上:「当たり前を疑う、壊す」ことを心がけています。自社で当たり前の表現は社外から見ると分からないことが多いです。それを見つけて言う勇気を、広報担当者は持たないといけないですね。
Q&A 広報組織づくり・マインドセット編
広報最初の一歩
小野:何のために広報するのか?目的と理想を設計することが一番大事!作業から入ろうとすると、優先順位がつけられません。広報することでどんな成果を得たいかが決まっていれば、何をすればいいかは自ずと見えると思います。
ぜひ「ひとり広報の戦略書」も読んでみてください!笑
井上:経営層が考えている広報活動と、担当者が思い描いている広報活動に乖離しているケースが多いです。お互いに言語化して確認することも大事ですね。
BtoB広報って何をやる?
井上:主な役割は「ブランドコミュニケーション」と「パーパス経営に基づくステークホルダーへの情報発信」です。BtoB広報はtoCと違って、リリースを出したからといって売り上げに直結しづらいです。とはいえ、ブランドコミュニケーションに取り組む中小企業では、ブランドのイメージアップや取引価格に寄与している調査結果が出ています。
パーパス経営に基づく情報発信とは、パーパスに併せて会社の発信をどうしていくか?SNSにおいても、パーパスに合わせた情報設計をし、メッセージを発信していく、ということです。
Q&A 実務編
タスクの優先順位づけ
小野:「やらないことを決める」ことを大事にしています。会社として大事なことや強みに注力し、会社に知見がない、得意でないことはバッサリ切っています。
社内広報
小野:したほうがいいです。広報が自ら社内に働きかけをすることで、広報の社内での存在感を高め、理解や共感を得ることができます。
井上:BtoB企業だと社内広報の割合が社外広報より多いこともあるほど大事。パーパスやビジョンは、社員一人一人が消化して活動できるかどうかにかかっています。そこに働きかけられるのが広報です。
地方広報
小野:地方は東京に比べてメディアの数は少ないです。ただ、地域メディアとの距離が近い利点があります。やり方を工夫してメディアアプローチをすることは大事だと考えています。
広報を始めてどのくらいで、取材を受けるなどの結果を出せる?
小野:メディア露出や掲載はわかりやすい広報の成果。小さくてもいいから、一つ、最短最速で結果を出すことをおすすめします。やり方や行動量次第です!
井上:短期で結果を見せることは、社内広報の観点からも重要です。メディア掲載は短期で結果も出やすいので、1ヶ月でも掲載に向けて頑張れると良いですね。
登壇者プロフィール
小野茜(おの・あかね)
株式会社EAT UNIQUE代表・広報パーソンカフェ・レストラン・ホテル等の現場経験、外⾷業界向けニュースメディアでの執筆・編集経験を経て、2012年に株式会社ABC Cooking Studioに⼊社。企業広報及び新規事業開発・アライアンス事業として約5年在籍したのちに2017年1⽉に独⽴。あらゆる企業の広報活動を社外から⽀援する広報パーソンに。2022年11月、プレスリリース配信プラットフォーム「PR TIMES」より初代プレスリリースエバンジェリストに公認される。
井上千絵(いのうえ・ちえ)
株式会社ハッシン会議 代表取締役/PRコンサルタント。
元・名古屋テレビ放送株式会社(メ〜テレ)報道記者。2010〜2012年に局を代表してテレビ朝日「報道ステーション」へディレクター出向。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修士。企業の広報チーム立ち上げ&伴走を支援する株式会社ハッシン会議を2020年に設立。ひとり広報担当者のためのPRコミュニティ(会員75社)を主宰。
二人の書籍について
対談で盛り上がった課題についても、二人それぞれの視点で解決のヒントが書かれています。ひとり広報の必読の書!ぜひ、ご一読ください。
「ひとり広報の戦略書」小野茜 著
「ひとり広報の教科書」井上千絵 著
あとがき
Q&Aで取り上げられた質問は、広報なら誰もが悩むことばかり。セミナー中も参加者から質問が上がり、盛りだくさんの1時間でした。二人の回答は具体的な実例に基づいていて、実践のイメージが湧いてきます。社名や固有名詞も頻出、レポートに書けないほどの詳細ぶりでした。例えば「プレスリリースは有料/無料、どちらが良い?」といった質問に対しては、具体的にワイヤー名を示して、無料サービスを駆使するアドバイスも。他には、SNS運用で自分でネタを考えなくても良い仕組みづくり、第三者の視点を入れた経営層を動かすポイント、KPI設定で何を数値化するかなども。
活動領域が少し違う二人の対談だからこそ、悩みも幅広くカバーされ、パターンの違う回答も届けられていたと感じます。まさに今悩んでいる部分で、取り組みへの一歩が見えた方も多かったのではないでしょうか。
(執筆者:桑平彩子)
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