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【イベントレポート】企業経営×広報活動のインパクト最大化を事例から学ぶ 〜日本に住宅診断業界をつくり法改正にも繋げた広報力と組織力の裏側〜

【イベントレポート】企業経営×広報活動のインパクト最大化を事例から学ぶ 〜日本に住宅診断業界をつくり法改正にも繋げた広報力と組織力の裏側〜

不動産コンサル会社「さくら事務所」の広報立ち上げから代表取締役として住宅診断業界の利用実績No.1にまで成長させた大西倫加様と、ハッシン会議 代表の井上と対談イベントを行いました。

企業経営と広報活動が連動しておらず、広報活動の成果を感じられない経営者の方、または、会社代表とのコミュニケーションをどう進めればよいのかわからず、課題を感じている広報担当の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、経営と広報の最大化を図る組織づくりのポイントや広報活動の実践事例について、対談の内容をピックアップしてレポートします。

講演者プロフィール

▼さくら事務所の事業内容▼

今年設立24年。業界で初めて、個人の方向けに不動産の購入・売却、マンションなどの維持管理など、住まいに関することへ中立な立場でのアドバイスやコンサルティングをおこなうスペシャリスト集団。売上の中心は、建築士などの資格を持った専門家が建物の調査を行うホームインスペクションとマンション管理組合コンサルティングの2軸。
https://www.sakurajimusyo.com/

経営と広報の最大化を図る組織づくりのポイント

「経営の視点はすべて、これまでの広報PRの経験が培ってくれたといっても過言ではない」と大西様。ご自身のご経験から「経営×広報活動」について、最大化を図るためのいくつか重要なポイントをお聞きしました。

異業種・広報出身から経営者になったPRキャリアの活かし方

異業種から未経験業界の広報PR担当へ

大西様(以下敬称略):不動産建築業界の知見や経験がまったくない立場から広報PR担当として招かれ、当初はライセンスを取るべきか考えて勉強もたくさんしました。しかし、敢えてライセンスは取らず、異業種・未経験であることを全面に押し出して広報PR活動を進めることにしました。

このように決断した理由は、

・不動産建築業界は情報の非対称性が大きい(業界に従事する人と一般の人との専門性や知識に格段の差がある)
・業界の常識は他業界からみた非常識であることに問題意識を感じた
・中立の立場で一般の方のサポートが必要
・専門家と一般の方をつなぐ橋渡しのような役割を担うべき

異業種出身や未経験ならではの素朴な疑問など、わからないことの視点を活かして広報PR活動をすることの必要性を強く感じられたそうです。

井上:現場の専門性や知識量が多いからわからない、知らないから伝えられない、ではなく、知らないからこそ社会と接続するためのブリッジになることができます。それが広報担当者の役割であり、その視点を常に持っていてほしいと思います。

経営経験のない広報PR担当者が経営者へ

大西:事業や会社を立ち上げる、経営者になるなど、全てにおいて広報PR経験は活かせると確信を持っています。

バランスシートには載らない指標だが一番大切なことは、『応援や信頼という資産である』と、経営方針に定めているそうです。

応援や信頼など、全ての方々の声を拾って届けてくれる広報PR担当者は、

・世の中の流れ
・外の業界のトレンド
・社内で今起きていること

など、経営者には見えていない多角的な視点をもたらしてくれる非常に大きな役割を担っています。

広報を経営をどのように一体化させるか

井上:多くの広報担当者の方は、経営者に『広報はいったい何の効果があるのか』と言われて困っている方も多くいらっしゃいます。そのような経営者への説得方法など、アドバイスがあればお聞きしたいです。

大西:経営者を巻き込んで広報PRを進めていくために、大事なことは3つあると思っています。

①経営者と同じ目線になって数字やファクトで語り、結果にコミットする

なぜこれをPRしたいのかという目的(WHY)を明確にし、ベンチマークの企業やサービスなどの事例を持って目的を達成するための具体的な戦略を立て、結果を必ず出す。結果が出るようになると経営者との信頼関係をより深く築くことができる。

②広報PR担当者は錬金術師

社内にどんな宝のもとが眠っていて、それを磨いて叩くと金になるのか、それを発掘できることが広報PR担当者のスキルとして最も大事なこと。砂金をどうやって錬金すれば世の中に需要があるのか策を練ることが非常に重要で、経営者と目線合わせをする必要がある。

③経営者と同じ視座で提案をする

リリースは何のために出すのか、この商品やサービスはどのように生まれたのか、企業戦略上どういう位置付けなのか、どうしたら経営にインパクトがでるのか、など視座を上げて考え、経営者へ提案できることが大切。

広報と経営が協力する効果(KPI設定)

井上:会社のフェーズによってKPIの作り方は違うと思っています。広報は1個アクションしたら1個結果が出る世界ではありません。それが広報の難しさでもあり面白さでもあるのですが、種まきをしていく過程でちょっと芽がでたりすごく花が咲いたり。いくつやってみて、結果を見ながらPDCAを細かく回していくことが理想的な広報活動かなと考えています。

大西:その通りだと思います。はじめて私が1人で広報をやっていたときは、まだ日本に同じサービスがない状況で、さらにお金をかけることもでききなかったので、できることは労力や体力を使って何でもやっていました

このようにいろいろなことにチャレンジしていった結果、わかってきたことがあるといいます。

・メディアに取り上げてもらうこと → 広告を出さなくても信頼してもらいやすい
・一般の方は知らない事実をWEBに包み隠さず情報を出していく → 信頼してもらえるようになった

大西:今では、メディア掲載数はあえてKPIに設定するようにしています。企業理念に基づき、たとえすぐにサービスや売上に直結しなくても、不動産マーケットに入ってくる購入者層の方たちが知っておくべきことを常に伝え続けていくことは私たちの使命だと考えているからです。

井上:会社のビジョン・ミッション・バリューや経営課題に紐付いたKPIを設定することはとても大切なことです。メディアの掲載数に関しては、目的に紐付いた掲載数と相性の良いメディアを選ぶことが必要です。

企業経営×広報活動の実践事例紹介

ここでは、どのように経営者と一体となって広報PR活動を進めていけばよいのか、さくら事務所の事例を紹介していただきました。

信頼を最大化させることが重要戦略

大西:広報活動はメディアに出ることや何かを伝えることだけではないと思っています。社内の仲間も含めて、ステークホルダーと良好な関係を築いていくことが一番大事なことだと考えています。

そのために、さくら事務所では次のように企業経営と絡めて広報活動を行っています。

◎他部門でのサービスや事業の立ち上げ段階から広報も参加

あらゆる部門の会議やマーケティング戦略、サービス開発の段階で広報も参加し、どのように世の中に受け入れられそうかを広報の視点でフィードバック。

◎代表と広報担当者だけの打ち合わせ時間を作る

会社の方針を共有し、広報PR担当者と代表が一緒に広報やマーケティング戦略を練っている。応援・信頼を得るための広報活動によって、社員全員が競合と戦うのではなく、いいサービスを提供することに集中する環境を作ることができる。

◎社内の専門家たちをブランド化して可視化

専門家がどんな人たちなのか、個人をブランド化しPRするため、メディアリレーションだけでなく、YouTubeにも力を入れている。指名を受けたり問い合わせを受けたりできることは、広報活動のおかげだと認識できる環境へ

ずっと応援・信頼される企業はどういうものなのか、

・広報だけでなく、社内一気通貫で考え続ける
・社員から言語化して全員に共有する

ことをポイントに、書籍やYouTubeに触れた時から始まる顧客体験をいかに最大化させるかを社員全員で考えるカルチャーを作っています。

広報がリクルーティングに活きている事例

大西:広報PR活動は、サービスや事業へのインパクトだけでなく、リクルーティングにも力を発揮しています。

メディア掲載やYouTube動画を通して、会社のカルチャーや経営方針がよく伝わるようになり、応募者がとても増えているといいます。

さらに、このような経緯の応募者は、

・はじめからカルチャーフィットしている
・目的理念に共感し、熱意を持っている

という方がほとんどだそう。

大西:会社がどんなビジョンで目的地に向かい、その目的地に向かって一緒に航海に出る仲間を集めることが会社にとっては必要なことです。ビジョンに共感してくれる仲間を集めることができるのが、リクルーティングに広報PRを活用するメリットだと感じています。

労力のかかるYouTubeを成功させた事例

▼さくら事務所YouTube▼

https://www.youtube.com/c/sakurajimusyo-official/videos

井上:YouTubeが採用に活きていることはとてもヒントになる一方で、労力が非常にかかるYouTubeをどのように始める決断をしたのでしょうか。登録者数や再生回数が伸びずに辞めてしまう広報担当者も多く、乗り越えるコツなど教えていただきたいです。

大西:YouTubeはコロナ禍になって問い合わせが止まってしまったため、一般の方が知ってべき情報を発信することに力を入れようと思い始めました。

もちろん最初は伸び悩んだといいます。

・YouTubeに限らず、無名からはじめるためには馬力勝負が必要
・目標本数に達成するまではとにかく動画をあげることに専念
・その後、どの企画やタイトルがヒットするかを見ながら進める
・短期的に成果があがりづらくても会社の優先事項として協力体制をつくる

大西:このような広報活動が大事だということは常に全社会議でも発信しています。応援してくれる人が増えることが会社としての成功の定義にしているので、ここが重点戦略だと伝えると、当事者として取り組むのが当たり前という雰囲気になってくれます。

井上:広報担当者の発案で何か動き出すとハードルがあるが、大西さんが決断されて全社を巻き込んで、こうゆうKPIでまずはやってみようと代表自ら号令があったことが継続できたとても大きなポイントだなと思いました。

大西:はじめは理解してもらえないことも多く苦労もしましたが、今は広報活動が仕事の成果に結びつくということを多くのメンバーが理解している状況を時間をかけて作ってきました。だからこそ、広報経験者の方が成果を出してポジションをつかんでいくような事例が増えていくと、会社の広報活動は会社の資産であるという方針が広まっていくのではないかと思っています。

編集後記

広報PR活動は、ステークホルダーから『信頼と応援』を得るための大切な要素で、それこそが企業にとって大きな資産である、という大西様のことばはとても力強く、広報PRに携わる方々に勇気や大きなモチベーションを与えるような応援のことばのように感じました。

広報PR活動が企業経営にどの程度インパクトがあるのかピンときていなかった経営者の方も、どうやって経営者を巻き込んでいけばよいのか悩んでいた広報PR担当の方も、大西様の事例を参考に、経営者と広報PRでミーティングをする機会を今一度設けてみてはいかがでしょうか。

改めて、大西様ありがとうございました。

執筆者 釜賀友香

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